保育園の第三者評価とは?
目的・監査との違い・流れ・費用・補助金を解説
保育園の第三者評価は、「福祉サービス第三者評価」の一分野として実施されています。園の運営や保育サービスの内容について、外部の評価機関が公正・中立な立場から確認し、その結果を公表します。
第三者評価というと、「園が評価される」「良い・悪いを判定される」と受け止められることがあります。しかし、本来の目的は、園の理念や取り組みを整理し、保護者への情報提供や保育の質の向上につなげることにあります。
この記事では、保育園を運営する法人幹部・園長向けに、第三者評価の目的、監査・指導検査との違い、評価で確認される内容、受審の流れ、準備する書類、利用者調査・職員自己評価の活かし方、費用・補助金、評価機関の選び方をわかりやすく解説します。
- 第三者評価の目的
- 監査・指導検査との違い
- 評価で確認される内容
- 受審の流れと準備する書類
- 費用・補助金
- 評価機関の選び方
第三者評価とは、事業所の運営状況や福祉サービスの内容について、公正・中立な第三者評価機関が専門的な立場から評価・公表する仕組みです。
また、「利用者への情報提供」と「事業所の質の向上の支援」という二つの大きな目的があります。
第三者評価で公表される情報は、保活中の保護者だけでなく、保育園への就職を検討している方にも活用されています。質の向上への支援では、保育内容に加え、事業計画、職員体制、保護者への情報提供、安全管理、苦情対応、地域との連携など、園の運営に関わる幅広い項目について確認していきます。併せて、園の理念や方針が日々の保育実践にどのように反映されているかを確認し、質の向上や改善につなげていきます。
第三者評価と監査・指導検査は、どちらも園の運営状況を確認するものですが、目的や視点が異なります。監査・指導検査は法令や基準に基づく確認であるのに対し、第三者評価は園の取り組みを整理し、強みや今後の課題を確認します。
| 比較項目 | 第三者評価 | 監査・指導検査 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 保育の質向上、情報提供、園の取り組みの見える化 | 法令・基準に基づく適正運営の確認 |
| 実施主体 | 認証された評価機関 | 行政・所管自治体 |
| 確認する視点 | 園の理念、保育の内容や取り組み、保護者の声、職員の振り返り | 人員配置、設備、運営基準、会計、法令遵守 |
| 園にとっての意味 | 強みや課題を整理し、質の向上や改善につなげる機会 | 指摘事項を是正し、適正運営を確認する機会 |
| 職員にとっての意味 | 自分たちの保育の振り返りによる気づき | 法令遵守や業務管理の確認 |
| 結果の活用 | 保護者・地域への情報提供、園内部の改善や職員の意識向上 | 行政指導への対応、是正改善 |
アンケート調査や自己評価調査などを通して、保護者の声、職員の振り返り、園の取り組みを多面的に確認します。それらを基に、評価推進機構が実施する評価者養成講習を修了した「評価者」が客観的に分析します。
| 確認する視点 | 主な方法 | 目的 |
|---|---|---|
| 保護者の声 | 利用者調査(保護者アンケート) | 園に対する保護者の意向や意見を把握する |
| 職員の振り返り | 職員自己評価(職員アンケート) | 職員が自園の保育や運営を振り返り、良い点や課題を確認する |
| 園の取り組み | 自己評価・書類確認・訪問調査 | 目指す保育への取り組みや実践を確認する |
| 経営・運営の状況 | 訪問調査(園長等へのヒアリング) | 園の方針、サービスの向上や改善への取り組み、組織運営を確認する |
保護者アンケートを通して、園に対する意向や満足度、日頃感じていることなどを把握します。アンケートは無記名で実施され、保護者が安心して率直な意見を伝えられる方法となっています。近年、連絡帳のICT化など、保護者の利便性向上に向けた動きに合わせて、WEBアンケートを導入する評価機関も増えています。WEBアンケートにより保護者が回答しやすくなり、負担の少ない形で意向や意見を伝えられるようになってきています。
職員一人ひとりが「園の理念や方針」「日々の保育」「保護者対応」「安全管理」「職員間の連携」などについて自己評価を行います。振り返りを通して、自分たちが取り組んでいることや強みを確認するとともに、課題への“気づき”を得て、より良い保育の実践や職員の資質向上につなげています。
東京都評価推進機構の定める共通評価項目に沿って、園の方針・目標、組織運営、各種取り組みの状況、課題と改善点を確認していきます。現状把握をもとに、改善の方向性や具体的な取り組みにつなげ、園全体の質の向上を図っています。また、評価者が園を訪問する「訪問調査」では、見学やヒアリングを通して園の強みや課題を明確化し、力を入れている取り組みや改善点を再確認します。
東京都推進機構の評価項目では、保育園の実態を幅広く確認します。主に、園の組織や運営面に関する「組織マネジメント」と、保育実践に関する「サービス」があります。運営や保育の書類が整っているかだけではなく、それらが日々の保育や職員間の共有、取り組みや活動に活かされているかを評価者と一緒に確認していきます。
| 確認される領域 | 主な確認内容 | 園で振り返りたいポイント |
|---|---|---|
| 理念・基本方針 | 保育理念、園の方針、法人の考え方など | 理念が職員に共有され、日々の保育に活かされているか |
| 組織運営 | 事業計画、会議、記録、改善の仕組み、リスクマネジメントなど | 園全体で課題を共有し、改善につなげているか 安全管理や情報管理の体制が整備され、必要な対策が行われているか |
| 職員体制・職員育成 | 職員配置、研修の実施、職員間の連携など | 職員が園の方針を理解し、学び合う仕組みがあるか |
| 保育内容 | こどもの発達援助、保育計画、保育の実践など | こども一人ひとりに応じた保育、目標や方針に基づいた保育に取り組んでいるか |
| 保護者支援 | 情報提供、相談対応、保育活動への参加など | 保護者が安心して子育てができる支援や環境づくりに取り組んでいるか |
| 地域との連携 | 地域交流、関係機関との連携 | 園が地域の中でどのような役割を果たし、地域の方々とどのように交流しているか |
評価機関の選定から評価結果の公表まで、全体としておおよそ4か月を要します。受審の流れをあらかじめ確認し、園の状況に合わせて無理のない形で準備を進めていくことをおすすめします。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ステップ1:評価機関の選定 | 保育分野の評価実績、評価者の専門性、説明のわかりやすさ、受審料金、機関の特色や評価の着目点などを確認します。 |
| ステップ2:契約とスケジュール確認 | 評価方法、費用、日程を確認します。東京都では、対象サービスや設置主体に応じた補助・助成の制度があります。補助の対象や申請先、申請時期、必要書類などは自治体や施設種別によって異なるため、所管自治体に確認しましょう。 |
| ステップ3:自己評価の実施 | 園運営や保育内容について、実践している取り組みや課題を所定の書式(分析シート)に整理していきます。 |
| ステップ4:資料の準備 | 入園のしおりや重要事項説明書をはじめ、調査に必要な計画書やマニュアル、記録などを準備します。評価機関より、「事前資料」として提出を求められる場合があります。 |
| ステップ5:保護者アンケート・職員自己評価(アンケート)の実施 | 保護者へ実施の目的を説明し、協力を依頼します。また、職員一人ひとりが、アンケート形式の自己評価を通して、自園の保育や取り組みについて振り返ります。利用者調査や職員自己評価の結果は、評価機関から報告されます。 |
| ステップ6:訪問調査 | 評価者が園を訪問します。園内の見学、書類の確認、ヒアリングを通して園の現状を確認していきます。 |
| ステップ7:評価結果の報告 | 評価結果の報告書に基づき、説明や質疑応答を行い、事実確認をします。必要に応じて修正し、公表の意向を確認します。 |
| ステップ8:結果公表 | 「とうきょう福祉ナビゲーション(通称:福ナビ)」に評価結果が公表されます。結果を職員間で共有し、次の取り組みに活かしましょう。 |
評価機関を選ぶ際は、料金だけで判断するのではなく、保育分野の評価実績や評価者の体制、説明のわかりやすさ、評価後の活用視点などを確認することが大切です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 認証の有無 | 東京都福祉サービス評価推進機構の認証を受けた評価機関か |
| 保育分野の実績 | 認可保育所、認定こども園、認証保育所などの評価実績があるか |
| 評価者の体制 | 保育・福祉・医療・経営など多様な専門性があるか |
| 説明のわかりやすさ | 受審の流れや準備事項を具体的に説明してくれるか |
| アンケート対応 | 保護者が回答しやすいアンケート方法に対応しているか |
| 評価後の活用 | 評価結果を改善や職員の気づきにつなげる視点があるか |
保育園が福祉サービス第三者評価を受審する際は、評価機関と契約を結び、評価方法に応じた費用が発生します。東京都では、保育園等の受審を後押しするため、対象サービスや設置主体に応じた補助・助成制度が用意されています。
東京都の公表資料では、認可保育所、認定こども園、認証保育所、認可外保育施設、学童クラブなどについて、実費相当額について、上限60万円とする補助区分が示されています。ただし、補助の対象、申請先、申請時期、必要書類、交付額は自治体や施設種別によって異なります。
そのため、受審を検討する際は、評価機関への相談とあわせて、所管自治体の最新情報を確認することが大切です。特に、申請前の見積書の要否、評価結果の公表同意の有無、評価後の改善課題や取り組み方針の報告が必要かを確認しておきましょう。
| 対象となる施設例 | 補助・助成の目安 | 確認したいポイント |
|---|---|---|
| 認可保育所 | 実費(上限60万円)とされる区分があります。公定価格の第三者評価受審加算(15万円)を受ける年度は、評価機関に支払った額から15万円を差し引き、補助上限は45万円となります。 | 設置主体、加算の有無、申請先、申請時期を確認します。 |
| 認定こども園・認証保育所 | 実費(上限60万円)とされる区分があります。認証保育所では、別制度の加算額を差し引く扱いとなる場合があります。 | 自治体の補助要件、見積書の要否、交付決定前の契約可否を確認します。 |
| 認可外保育施設・ベビーホテル等 | 実費(上限60万円)とされる区分があります。自治体により、事前申請や受審対象施設の決定が必要な場合があります。 | 対象施設かどうか、開設後の年数、申請期限、実績報告期限を確認します。 |
| 学童クラブ等 | 東京都の学童クラブ事業等では、実費(上限60万円)とされる区分があります。 | 公設・民設の別、区市町村の制度、国ガイドライン評価の扱いを確認します。 |
※2026年8月時点の東京都公表資料等をもとに作成しています。制度内容は変更される場合がありますので、最新情報は所管自治体にご確認ください。
※上記は東京都の公表資料等を踏まえた確認ポイントです。実際の補助対象、交付額、手続きは年度や自治体により変わるため、必ず最新の自治体案内をご確認ください。
東京都では、保育園を含む福祉サービス第三者評価の受審が継続的に推進されています。評価結果は「とうきょう福祉ナビゲーション(福ナビ)」で公表され、保護者や地域の方々が園の取り組みを知るための参考情報として活用されています。
評価結果の公表は、サービスの質向上に向けた園の取り組みを広く伝える機会となり、園をより深く知ってもらうきっかけにもなります。受審件数や公表状況は年度により変わるため、最新情報は福ナビや所管自治体の案内で確認することが大切です。
また、評価結果は公表して終わりではありません。結果を職員間で共有し、保護者の声や職員の気づきを次の取り組みに活かすことで、園運営の改善や保育の質向上につなげていくことができます。
東京都では、福祉サービスの質の向上を目指し、事業所が福祉サービス第三者評価に継続的に取り組むことを推進しています。第三者評価は、保護者や職員にさまざまなメリットをもたらすだけでなく、評価結果の公表を通して、園の取り組みを広く伝える機会にもなります。
第三者評価は、園を良い・悪いで判定するものではありません。保護者の声、職員の気づき、園の取り組みを多角的に確認し、保育の質の向上と園運営の改善につなげるための仕組みです。3年に1回の受審を、園の振り返りや改善につながる機会として活かしていくことが大切です。
保育園の第三者評価をご検討中の法人・園長の方は、お気軽にご相談ください。
東京都福祉サービス第三者評価機関として、高齢・保育・障害の各施設・事業所の第三者評価に取り組み、保育分野では、認可保育所、認証保育所、認定こども園、認可外保育施設などの評価実績があります。また、保育士、社会福祉士、看護師、中小企業診断士のほか、MBAなどの専門的な知識・経験を持つ評価者が在籍しています。受審前の準備、訪問調査、評価結果の確認まで、事業者にとってわかりやすい進め方を大切にしており、WEB方式によるアンケート調査にも対応しています。
弊社は「ミライのシアわせを、共に支える」という理念を基に、「現状を共に確かめ、気づきを促し、より良い未来への歩みを支えること」を役割としています。福祉サービスを利用される方々に喜ばれるサービスの実現と、事業者の多様な取り組みの背景にある課題への気づき、さらなる改善につながる評価を目指しています。
東京都のほかに、神奈川県、埼玉県、大阪府の福祉サービス第三者評価にも対応しています。受審をご検討中の方はお気軽にご相談ください。
株式会社ミライ・シア
東京都福祉サービス第三者評価機関として、高齢・保育・障害分野の第三者評価に対応。保育分野では、認可保育所、認証保育所、認定こども園、認可外保育施設などの評価に取り組んでいます。

